第33章 恋情増幅(R18)
(……でも、あとは寮に帰るだけ。大丈夫……!)
自分に言い聞かせるように深呼吸をして、ユカリはさらに足早に生徒玄関へと向かった。
階段を下り、開けた視界の先に下駄箱が見えてくる。
もうすぐそこだ。
靴を履き替えて外に出てしまえば、ひとまずは安心できる――
そう安堵しかけた、次の瞬間だった。
「――おい」
不意に背後から声をかけられたと同時に、ガシッと強い力で右腕を掴まれた。
「……っ!?」
驚きで心臓が跳ね上がる。
振り返るまでもなかった。
掌から伝わってくる、微かな熱と、火薬のような独特の匂い――爆豪だ。
驚きに目を見開くユカリの耳元で、さらに追い打ちをかけるように、あの低くハスキーな声が鼓膜を震わせた。
(まずい、まずいまずい……っ!)
いきなり直接接触という最大級のトリガーを引かれ、ユカリの脳内でけたたましい警報が鳴り響く。
「は、離して……っ!お願いだからっ……」
必死に腕を振りほどこうとするが、爆豪の大きな手はびくともしない。
それどころか、ユカリの身体を自分の方へと強く引き寄せた。
「離すかよ。来い」
「えっ、ちょっと……!」
有無を言わさぬ強い力で引かれ、ユカリは強引に歩き出させられる。
繋がれた腕から、彼の高い体温が容赦なく流れ込んでくる。
息が急速に荒くなり、身体の奥からドロリとした熱が這い上がってくるのが分かった。
視界がぐらぐらと揺れ、一気に『個性』の症状が全身を支配し始めていく。
足元がおぼつかなくなるユカリを引っ張るようにして、爆豪が向かった先は――誰もいない放課後の保健室だった。
ガチャリ、と無機質な音が響き、内側から鍵が掛けられる。
薄暗い室内に引きずり込まれ、連れて行かれたのは、よりにもよって5限目に轟と触れ合ってしまった、あのベッドの前だった。
(どうして、ここ……っ)
爆豪が意図的にこの場所を選んだのだと察し、ユカリの心臓が破裂しそうなほどに跳ねる。
だが、もう限界だった。