第33章 恋情増幅(R18)
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放課後、窓の外は夕焼けのオレンジ色に染まり始めていた。
個性の効果が切れる18時まで、あと少し。
これ以上トラブルを起こさないよう、ユカリはギリギリまで教室に残っていた。
本当は三人ともユカリに付き合って残る気満々だったのだが、放課後のチャイムと同時にその計画は崩れ去る。
『ごめんユカリ! サーから『今すぐ来い』って緊急招集かかっちゃった! 戻ったらすぐ寮に向かうから!』
ミリオはそう叫ぶなり、嵐のように教室を飛び出していった。
残されたねじれと環も、手元には分厚い戦闘訓練のレポートがある。
『あちゃー、先生が『放課後、職員室に持ってこい』だって!これ、絶対細かく突っ込まれて長引くやつだよ〜……』
ねじれがガックリと肩を落とす。
環も『……早く終わらせて、すぐ戻るから……』と、消え入りそうな声で机の上のレポートを抱え込んだ。
すぐには終わりそうにない二人の様子に、ユカリは思わずくすりと笑って手を振った。
『大丈夫、時間になったら一人で寮まで帰れるから。みんな、ありがとう』
『うぅ、気をつけてね!』と名残惜しそうに手を振るねじれと、静かに頷く環。そのまま二人は慌ただしく職員室へと向かったのだった。
ぽつんと一人残されている教室で、ユカリは壁の時計を見上げる。
時刻は17時40分。
個性の効果が切れる18時まで、あと20分。
「……よし、今なら誰にも会わずに帰れるかも」
ギリギリまで粘るつもりだったが、もう主要な生徒たちは下校している時間帯だ。
これ以上、静まり返った教室で一人、じっと針が進むのを待っている方が精神的にきつい。
ユカリは意を決して荷物をまとめると、席を立った。
ガラリと教室の扉を開け、静まり返った廊下へと足を踏み出す。
夕闇が迫る長い廊下を急ぎ足で進みながら、ユカリは激しく脈打つ胸を押さえていた。
(……爆豪くんも、気づいてるよね……きっと)
脳裏をよぎるのは、昼休みの保健室での出来事。轟は出久から事情を聞いて、ユカリの個性事故に気づいていた。
だとしたら、あの誰よりも鋭い爆豪が、気づいていないはずがないのだ。