第33章 恋情増幅(R18)
はだけそうになる首元──轟に強く吸い付かれ、真っ赤な痕が残ってしまったそこを、自分の手で必死に隠しながら。
涙目で、顔をこれ以上ないほど紅潮させ、息を切らして走るユカリ。
──だが、運悪く。
その姿を、廊下の角から歩いてきた男が、ばっちりと正面から捉えていた。
「……あ?」
低い、地を這うような声。
そこに立っていたのは、同じくユカリに想いを寄せる爆豪勝己だ。
爆豪は、自分の目の前を猛スピードで通り過ぎていくユカリの姿を、驚愕に見開いた目で見送った。
真っ赤な顔。
潤んだ瞳。
乱れた髪。
そして、何より不自然に首元を必死に押さえているその小さな手。
いつもなら「爆豪くん、お疲れ様」と優しく微笑んでくれるユカリが、今は自分に気づきもしないほどパニックになり、明らかに『男の影』を感じさせる姿で走っていく。
ユカリが走り去った廊下の奥──その先にあるのは、保健室だけだ。
「………おい、ふざけんじゃねぇぞ……」
爆豪の額に、ピキリと凄まじい青筋が浮かび上がる。
彼の両拳から、パチパチと怒りの火花が爆ぜ始めた。