第33章 恋情増幅(R18)
その間の抜けたチャイムの音が、熱病に浮かされていた二人の理性を強引に現実に引き戻した。
「………っ!」
まずい。5限目が終わった。
すぐにガラガラと各教室のドアが開く音がして、廊下から生徒たちの賑やかな話し声や足音が近づいてくる。
誰がいつ、この保健室に飛び込んできてもおかしくない状況だった。
「は、……っ、ふ、あ……」
「……っ、くそ……」
二人は大きく肩を上下させながら、必死に荒い息を整えようとする。
轟は急いでユカリの上から退くと、ベッドの下に落ちていたネクタイを拾い上げ、乱れたシャツのボタンを不器用な手つきで留め直した。
ユカリもまた、震える指先で自分の制服のボタンを留め、捲れ上がっていたスカートの裾を大慌てで直す。
シーツには、二人の行為の生々しい痕跡が残っていたが、それを気にする余裕すらなかった。
「……ユカリ先輩」
帰り支度を整え、まだ足元がおぼつかない様子でベッドから降りたユカリの腕を、轟がそっと掴んだ。
ユカリが振り返ると、そこにはいつもの冷静さを取り戻しつつも、どこか熱を孕んだ瞳があった。
轟はユカリの耳元に顔を寄せると、他の誰にも聞こえないような低い声で、ぽつりと呟いた。
「……めちゃくちゃ、かわいかった」
「──っ!?」
その言葉に、ユカリの顔は一瞬で耳の先まで沸騰したように真っ赤になった。
つい数分前、彼の指に翻弄されて、あんなに淫らな声を上げてイってしまった記憶が鮮明に蘇る。
「も、もう知らないっ……!」
羞恥心が限界を迎えたユカリは、轟の制止の声を振り切るようにして、逃げるように保健室のドアを勢いよく開けた。
「あ、先輩──」
轟の声を背中で聞きながら、ユカリはとにかく誰もいない場所へ行こうと、廊下を全力で走り出した。