第33章 恋情増幅(R18)
「……っ、知ってる、なら……っ」
ユカリは、轟の両手首をベッドに縫い付けるようにして押さえつける。
「……お願い、だから、逃げてほしい……っ、身体が勝手に動いちゃって、私、今、何するかわかんないの……!」
その声は恥ずかしさと必死さで震えていた。
逃げてほしい。
そうしなければ、個性のせいで無理やり襲ってしまうことになる。
それは、ユカリにとってあまりに恥ずかしく、恐ろしいことだった。
しかし。
両手首を押さえつけられたまま、轟は逃げようとする素振りを一切見せなかった。
じっと、熱を帯びたオッドアイでユカリを見つめ返す。
赤と白の髪がシーツに散らばる中、彼はユカリの手のひらの下で、かすかに腕の力を抜いた。
「……逃げなきゃだめですか」
「え、……っ?」
予想外の言葉に、ユカリの思考が止まる。
「……昼休みに、先輩が個性にかかってるって緑谷に聞いて。だから、近づいたらこうなることも、なんとなく分かってました」
轟は、自分の両手首を掴むユカリの小さな手に、そっと自分の指先を絡めるように重ねた。
彼の大きな手のひらから伝わってくる熱が、ユカリの個性の熱と混ざり合っていく。
「逃げる理由、ないです。……だって、俺、先輩に何されたって嫌じゃないんで」
まっすぐに自分を見上げる彼の瞳には、熱い独占欲と、確かな好意が宿っていた。
彼にとって、今こうして自分に馬乗りになって赤くなっているユカリは、他でもない「大好きな人」なのだから。
「むしろ……もっと、してほしいくらいだ」
掠れた声でそう囁きながら、轟はユカリの体を自分の方へと引き寄せるように、繋いだ手にじわりと力を込めた。