第33章 恋情増幅(R18)
(触れる、一瞬だけ……!それで治るから……っ!)
ユカリは震える指先を、轟の青白く腫れた足首にそっと這わせた。
その瞬間。
彼の細胞が爆発的に活性化し、内出血を起こしていた足首の腫れが、見る見るうちに引いて元通りの綺麗な肌へ戻っていく。
(よし、終わった。はやく離れなきゃ……!)
―――だが。
そう思った瞬間には、もう遅かった。
直接接触という最大のトリガーを引いてしまったユカリの身体は、暴走する個性に完全に支配されることになる。
ギシッ……
「っ!?」
ユカリの身体が、本人の意思を無視して、勝手にベッドの上へと上がっていく。
(まずいまずいまずい……!!)
ユカリはベッドの上に座る轟に跨ると、そのまま彼の身体を勢いよく押し倒した。
ドサッとする音が耳に届く。
轟の腰の上に完全に跨る形になったユカリ。
太ももの間に彼の腰を挟み込み、上から見下ろすような、あまりにも情熱的で大胆な体勢。
いつもなら絶対にできない、人を組み伏せるような姿勢に、ユカリの頭は羞恥で破裂しそうだった。
押し倒された轟は、一瞬だけ驚いたように長いまつ毛をパチパチと瞬きさせた。
けれど、その表情はすぐに、どこか妙に落ち着いたものへと変わる。
仰向けのまま、自分を見上げてくる轟。
彼は至近距離でユカリの真っ赤な顔を見つめながら、ぽつりと呟いた。
「……すごい個性ですね」
その声には、驚きよりも、どこか感心したような、あるいは面白がっているような響きすら混ざっていた。
なぜ、まだ何も話していないはずの轟が個性のことを知っているのか。
普段のユカリなら真っ先に疑問を抱くはずだったが、今の彼女はとっくに限界を超えている。
そんな思考を巡らせる余裕など、もう一ミリも残っていなかった。