第33章 恋情増幅(R18)
昨夜、電話越しに聞こえたユカリの声。
頼りなくて、やけに素直だった『爆豪くんに会いたい』という声。
あの声を思い出すたびに、爆豪の胸の奥はざわついて仕方がない。
それなのに、今日目の前に現れた彼女は、自分を拒絶するように必死に逃げ回っている。
その矛盾が、爆豪の焦りと苛立ちを何倍にも膨らませていた。
「いつものユカリ先輩じゃない、か……」
出久は二人の様子を見て、ふと何かを考え込むように顎に手を当てた。
「ねぇ、もしかしてなんだけど……ユカリ先輩、何かトラブルに巻き込まれてるんじゃ……?」
「トラブル?」
轟のオッドアイが僅かに揺れた。
「うん、相澤先生がよく言ってるんだ。ユカリ先輩って不可抗力で事件とかトラブルに巻き込まれることが多いって」
少しずつ自分の考えを口にしていく。
「もしかしたら、僕たちにも言えないような何かがあって……だから二人に近づけない理由がある、とか」
その言葉に爆豪は黙り込んだ。
確かに、ユカリなら誰にも迷惑をかけまいとして、一人で抱え込むことは十分にあり得る。
しかし、それでも納得はできなかった。
「……だとしても」
低く、押し殺した声が漏れる。
「言えや」
吐き捨てるような言葉だった。
「一人で抱え込んでんじゃねぇよ」
爆豪はポケットの中で拳を固く握りしめた。
いつでも通知に気づけるように握りしめていたスマホは、今も静まり返ったままだ。
拒絶されているわけじゃないかもしれない。
けれど、自分たちから必死に逃げ回るユカリの姿を思い出すたび、二人の胸のざわつきは収まるどころか、さらに激しさを増していく。