第33章 恋情増幅(R18)
「避けてるなんてレベルじゃねぇ」
爆豪は制服のポケットからスマホを取り出すと、ベンチの上に叩きつけるように置いた。
「昨日の夜、電話いきなり切りやがった」
そのまま不機嫌そうに続ける。
「今朝なんざ、俺が先回りして階段で捕まえたってのに、見たこともねぇくらい怯えた顔して逃げやがった」
その時のことを思い出したのか、爆豪の眉間の皺がさらに深く刻まれる。
「……俺も同じだ」
轟も静かに頷き、言葉を重ねた。
「中庭で先輩に声かけたら、すごく驚いた顔して、そのまま走って行った」
少し寂しそうに、長い睫毛が伏せられる。
「いつもなら、俺が話しかければどんなに忙しくてもちゃんと足を止めて話を聞いてくれる。……俺たち、何か怒らせるようなことしたか?」
その声には、本気で悩んでいる色が滲んでいた。
出久は二人の話を聞きながら腕を組み、「うーん……」と考え込む。
ユカリ先輩が二人を避けるなんて。
ありえない。
どう考えても、そんな人ではない。
だからこそ、何か理由があるはずだ。
「いつも落ち着いてるユカリ先輩がそこまで徹底して避けるなんて、確かに普通じゃないね……」
出久は思考を張り巡らせながら考える。
「でも、二人のことを嫌いになったとか、怒ってるとかっていう雰囲気だったの?」
「……違ぇ」
爆豪が苦々しく顔を歪め、視線を落とした。
「怒ってるとかじゃねぇ。怯えてるっつうか、何かを必死に堪えてるような……とにかく、いつものあいつじゃなかった」