第33章 恋情増幅(R18)
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朝のホームルームから昼休み前まで、ユカリにとってはまさに一分一秒が寿命の縮まる【 怒涛の午前中 】となった。
とにかく爆豪と轟の二人にだけは近づいてはならない。
個性の影響で、声を聞くだけでも胸がキュンと鳴り、物理的距離が縮まれば理性が消し飛ぶのだ。
ユカリは教室移動のたび、細心の注意を払って行動していた。
しかし、運命の神様はどこまでも意地悪だった。
1限目の移動教室。ユカリが足早に廊下の曲がり角を曲がろうとした、その瞬間。
「っと……」
低い、聞き覚えのある静かな声がすぐ目の前で響いた。
紅白の髪、鋭くも端正な顔立ち――轟だった。
危うく正面衝突しそうになり、ユカリの心臓がどくんと跳ね上がる。
胸の奥から湧き上がる圧倒的な愛おしさと「近づきたい」という衝動。
(まずい……!)
「わり――」
轟が驚いたように目を丸くし、ユカリに手を伸ばそうとした瞬間。
「はいはーい!通りまーす!」
ぬっと横から現れたねじれが、ユカリの肩をがっしりと抱き寄せ、そのまま凄まじい推進力で引き剥がした。
「轟くんおはよう!ユカリは今ちょっと急いでるからまたねー!」
「あ、ああ……おはよう、波動先輩……?」
遠ざかる轟の不思議そうな声を背中に聞きながら、ユカリは心の中でねじれに感謝した。
だが、危機はそれだけでは終わらない。
2限目が始まる直前、中央階段を駆け上がっていたユカリは、上から降りてくる賑やかな集団の気配に気づく。
「おいバクゴー、今日の昼飯何にするよ?」
「あ?クソ髪、俺に話しかけんな。肉一択だろ」
「おっ、さすがブレねえな!」
「いやまだ2限目!!」
爆豪派閥の面々だった。切島、瀬呂、上鳴、そしてその中心で不機嫌そうにポケットに手を突っ込んでいるのは爆豪だ。
(……どうしよう、階段だから逃げ場がない……!)
ユカリが絶望したその時。
階段の踊り場にいたミリオが、まばゆいばかりの笑顔で爆豪たちの前に立ちはだかった。