第33章 恋情増幅(R18)
相澤は手にした缶コーヒーを持ったまま、呆れたように低いため息を吐いた。
「お前」
「はい……」
「何でそんなに巻き込まれるんだ」
「え?」
相澤は、一つずつ指を折るようにして事実を数え上げていく。
「学園祭」
「体育祭」
「保健室」
「ヴィラン事件」
「恋愛トラブル」
「個性事故」
「どうしたらそんなに当たる」
じっと見据えられて、ユカリは苦笑するしかない。
「あはは、私にもわかりません……」
「だろうな」
相澤は再び、深く重いため息を吐き出した。
本当にわからない。
一年の頃から見てきた。
真面目だ。
努力家だ。
問題児ではない。
なのに。
なぜか問題の方から寄ってくる。
事件に巻き込まれる。
個性事故に遭う。
気付けば中心にいる。
もはや才能としか思えない。
「……まあ他人に実害が出ないなら、お前の自己管理の範疇だ」
相澤はそれ以上無理に詮索することはせず、ふっと息を吐いて言葉を続けた。
「だが、お前は昔から何でも一人で抱え込む癖がある。少しでも異常を感じたら、意地を張らずにすぐ保健室へ行け」
「はい。ありがとうございます」
心配してくれる相澤の優しさに、ユカリはホッと胸をなでおろす。
そして、相澤の鋭い視線はすぐに隣の心操へと移った。
「お前は早く位置につけ。まずは捕縛布の振り回し100本からだ」
「……うっす。鬼だ」
心操はげっそりした顔でグラウンドへと駆けていく。
それを見送った相澤もまた、いつものだるそうな足取りでグラウンドへと向かい始めた。
まだ朝の7時。
個性の制限時間である18時まで、あと11時間もある。
ユカリはこれから始まる長すぎる一日に、早くも目眩を覚えるのだった。