第33章 恋情増幅(R18)
昨日の報告書には既に目を通している。
スーパーでヴィランが暴れ、そこに居合わせた雄英の生徒四人が対応したこと。
その際、ユカリが敵の個性を受けてしまったこと。
そこまでは相澤も把握している。
だが、その個性事故によって彼女にどんな症状が出ているのかまでは、まだ知らされていない。
報告書には確か「精神干渉系」とのみ記載されていたはずだ。
「どんな個性だ」
「え!?」
まさか本人から先に突っ込まれるとは思わず、ユカリの心臓が激しく脈打つ。
隣の心操が「ほら、言わなくていいんすか」と無言の視線を送ってくるのが痛いほど分かった。
「あ、あの実は……その……大したことではないんですけど……」
ユカリは頭をフル回転させる。
ここで『爆豪くんと轟くんに近付くと暴走する個性なんです!』と正直に言えば、あの合理主義の塊のような相澤のことだ。確実に二人を呼び出し、「個性の効果が切れるまで、ユカリに一切近づくな」と直談判するに決まっている。
そうなったら、爆豪や轟に余計に変な意識をされてしまう。昨日、爆豪に『会いたい』と口滑らせたばかりなのに、これ以上ややこしい状況になるのだけは、絶対に阻止したかった。
「えっと……特定の相手と距離が近くなると体調を崩すような、そういう一時的な精神干渉系の個性で……! 」
「あ、でも今日の夕方には効果が切れるので、一日中一人で静かに過ごしていれば大丈夫かと……!」
「…………」
必死さのあまり、どこか不自然な言い訳を捲し立てるユカリ。