第33章 恋情増幅(R18)
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ユカリの自室。
スマホの画面が、暗い部屋の中でやけに眩しかった。
『さっきの』
一拍の不気味な空白。
そして、無慈悲に追撃が届く。
『聞こえてたぞ』
「っ!」
ユカリは思わずスマホを握りしめる。
「なんで聞こえてるの……!」
ほとんど叫びだった。
自分でも抑えきれないくらい、胸の奥が激しくざわざわと波打っている。
(あれ、絶対小声だったのに! いや、むしろ小声だったから余計に生々しくてダメだったんじゃ……!? ていうか、なんであんな思わせぶりに返事してくるの!?)
爆豪の声を聞いたせいで。
すでに「恋情増幅」のスイッチは完全に押し入っていた。
頭の中がぐちゃぐちゃに掻き乱される。
胸の熱に突き動かされるように、気づけばユカリは部屋を飛び出していた。
一刻も早く、彼に会わなければいけないような、そんなおかしな焦燥感が全身を支配している。
バタバタと廊下を走り、共同リビングを通り過ぎようとした―――その瞬間だった。
「ユカリ」
ソファに座っていた環が、本から目を上げずに声をかけてきた。
「どこ行くの」
「………っ」
一瞬、足が止まる。
「寮に行ってくる」
言ってから、自分でも意味が分からないくらい即答だった。
環がゆっくりと顔を上げる。
その目が、じっとユカリを捉えた。
「……どこの?」
その問いの意味が、一瞬遅れて脳に刺さる。
テレビの前にいたミリオとねじれも、お菓子を食べる手を止めて同時にこちらに振り向いた。
「え、寮ってなに?」
「雄英の寮だよね?」
ユカリは一拍だけ固まる。
そして勢いよく口走ってしまった。
「1年生の!!」