第33章 恋情増幅(R18)
「……クソ」
舌打ちしながらスマホを握り直す。
送る理由なんてない。
確認する必要もない。
そう思っているのに、指だけが勝手に動いた。
画面を開く。
既読も何もない、さっき切れたままの状態。
数秒の間、親指が画面の上で止まる。
(……何やっとんだ俺)
眉間に皺を寄せながらも、指は止まらない。
キーボードを乱暴に叩き、短く打ち込む。
『さっきの』
一度それだけを送信し、少しだけ間を置いた。
普通ならこれだけで十分なはずだ。
「何が言いたかった」と問い詰めるだけでいい。
だが、どうしたわけか指が勝手に、もう一行を付け足していた。
『聞こえてたぞ』
送信。
画面の向こう。
まだ「既読」の文字はつかない。
それを見届けて、爆豪はなぜか小さく、重い息を吐き出した。
「……わけわっかんねぇこと言いやがって」
そう毒づくのに、脳内ではまたあの声が勝手に再生される。
小さくて、ちょっと間があって、やけに素直で。
——ひどく可愛い声。
(……なんなんだよ、ほんと)
今度こそ突き放すように、爆豪はスマホを机に置いた。
しかし、いつでも通知に気づけるように、その手はすぐにはスマホから離れなかった。