第33章 恋情増幅(R18)
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夕方の騒ぎが嘘のように落ち着いた頃、ユカリたち四人は寮へと戻ってきた。
廊下の照明はいつも通り白くて、エレベーターの音も、誰かの笑い声も遠い。
自室のドアを閉め、ユカリは深く息を吐き出した。
「大丈夫……」
自分を落ち着かせるように、ぽつりと声に出す。
「明日まで爆豪くんと轟くんに近づかなければいいだけ。それだけ」
単純なルールだ。
そう、単純なはずだ。
ユカリは机に鞄を置いてベッドに腰を下ろす。
スマホが軽く振動したのは、そのときだった。
画面に表示された名前。
――爆豪勝己。
「……え」
一瞬、手が止まる。
(なんで今……?)
しかし、深く考えるより先に、ユカリは通話ボタンをスライドさせていた。
「もしもし」
できるだけ平静を装って、何気ない声を絞り出す。
その瞬間だった。
いつも通りのぶっきらぼうな声が耳の奥に飛び込んできた。
『……おい』
たった一言。
それだけなのに、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
(え、なにこれ……)
呼吸が一瞬で浅くなる。
個性のせいだと頭では分かっているのに、体の反応が追いつかない。
まるで鼓膜のすぐ傍に彼がいて、熱い吐息がかかっているような。
奇妙で圧倒的な「近さ」を感じる。