第33章 恋情増幅(R18)
「邪魔だァァッ!」
ヴィランが咆哮し、その能力で巨大な金属製の陳列棚を派手に吹き飛ばした。
鉄が悲鳴を上げるような凄まじい金属音が店内に響き渡り、並んでいた商品が火花のように宙へ散る。
だが――その破壊の渦中を、正面から突き破るようにして飛び出してきた影があった。
ミリオだ。
「遅い!」
まさに電光石火。ヴィランが反応するよりも早く、ミリオの鋭い拳が真正面からその顎を正確に撃ち抜いた。
衝撃にのけ反るヴィラン。そこへ、間髪入れずに横からねじれの衝撃波が叩き込まれる。
ズドォォン! と重々しい音が響き、ヴィランの巨体が大きくよろめいた。
「今、天喰くん!」
「……了解」
ねじれの声に応じ、天喰環の“個性”によって生成された拘束具――強靭なタコ足が瞬時にヴィランの腕へと絡みつき、その自由を完全に奪う。
「クソが、離しやがれッ!!」
ヴィランが力任せに引き千切ろうと暴れた瞬間、すでにその死角にはユカリが滑り込んでいた。
「これで、終わり」
冷徹なまでに冷静な声。
ユカリが鋭い足払いを繰り出すと、軸足を払われたヴィランの巨体は、いとも簡単にバランスを崩して宙に浮いた。
そこへ、間髪入れずに四人同時の苛烈な制圧が襲いかかる。
ミリオの容赦のない踏み込み、ねじれの放つ圧倒的な圧力、環の強固な拘束、そしてユカリの完璧な関節の締め技。
戦闘開始から、わずか数十秒。
あれほど荒れ狂っていたヴィランは床にねじ伏せられ、店内に急激な静寂が戻ってきた。
「……すごい……」
「本物だ……雄英のヒーローだ……!」
「ねえ、あれユカリ先輩だよね!? 」
一瞬遅れて、張り詰めていた店内の空気が一気に弛緩する。
恐怖に震えていた客たちから、地鳴りのような拍手と歓声が沸き起こり、興奮の熱気が広がっていく。