第33章 恋情増幅(R18)
そんな中―――
「見て見て! プリン半額だって!」
ねじれがデザートコーナーのショーケースの前で、パッと目を輝かせた。
ガラス越しに整然と並ぶプリンやシュークリーム。
そのパッケージに貼られた黄色い“半額シール”は、なぜか妙に神々しく輝いて見える。
「ねじれ、それ昨日も買ってなかった?」
ユカリは呆れ半分で苦笑する。
だが、ねじれは人差し指をチッチと振ってみせた。
「昨日は昨日! 今日は今日! 半額は別腹なの!」
通りすがりの主婦が「まあ賑やかな子たち」とでも言うようにちらりとこちらを見たが、ねじれは全く気にしない。
「だよねぇ! よし、俺も買う!」
ミリオも迷わずプリンへと手を伸ばす。
「別腹なんだ……」
二人の様子を少し離れたところから見守っていた環が、ぽつりと呟いた。
その手に握られているのは、特売でも何でもない普通の牛乳と食パン。
それをそっとカゴに入れる環の姿は、一人だけ生活感がリアルすぎて、どこか哀愁すら漂っている。
「ふっ……環って本当に堅実だね」
そのシュールな光景に、ユカリは思わず吹き出してしまった。
雄英高校三年A組。
ヒーロー科最上級生。
普段は人々を守る最前線に立つ彼らも、ひとたび制服を脱げば、こんな他愛のないことで笑い合うごく普通の高校生なのだ。