第33章 恋情増幅(R18)
しかし、戻ってきたと思えばその両腕には別のものが抱えられている。
「これは?」
それは炭酸ジュースの重たいケース。
「だめ」
「これは?」
今度はファミリーパックのクッキー。
「いいよ」
「これは?」
ゼリー六個入り。
「……いい」
「やったぁ!」
「ただし一人で全部食べちゃだめだからね?」
「努力する!」
そんな二人のテンポのいい押し問答を見ながら、ねじれはけらけら笑っていた。
「あはは!通形、本当に子供みたーい!ユカリも大変だね!」
「本当だよ。だって放っておくと、ミリオが今月の食費を全部お菓子に変えちゃうんだもん」
「そんなことないよ!? 俺だってちゃんと栄養バランスを――」
ミリオは勢いよく言い返しかけ、ふと自分が先ほど入れたカートの中身に目を落とした。
ポテトチップス。
クッキー。
ゼリー。
グミ。
「……やっぱりそうかも」
「でしょ?」
ユカリがジト目で即答する。
すると、それまで一言も発さずに一歩引いていた環が、ふい、と顔を背けた。
本人は感情を隠しているつもりなのだろうが、小さく震える肩と、わずかに緩んだ口元が、彼もまたこの騒がしい日常を愛おしく思っていることを物語っていた。