第33章 恋情増幅(R18)
それから数日。
雄英高校にもようやく平和な日常が戻った、ある日曜日の夕方のこと。
住宅街の大型スーパーは、夕飯の買い物に来た家族連れで賑わっていた。
野菜売り場では特売の赤い札が揺れ、総菜コーナーからは揚げたての香ばしい匂いが漂ってきて、人々の食欲をそそっている。
そんな人混みの中、雄英高校三年A組の四人―――ミリオ、ねじれ、環、ユカリは、寮で使う日用品や食料品の買い出しに訪れていた。
「ユカリ!」
ガラガラとカートを押すユカリの横で、ミリオはまるで遠足前の子供のように終始ワクワクと目を輝かせている。
「ん?」
「これもいい!?」
ミリオが満面の笑顔で掲げたのは、パーティーサイズの大容量ポテトチップスだった。
ユカリは一瞬だけ手元に目を落とし、迷わず即答する。
「いいよ」
「やった!」
ミリオは嬉しそうにそれをカートへ放り込んだ。
……と、思ったのも束の間。
「じゃあこれは!?」
今度は巨大なチョコレートの詰め合わせ袋。
「それはだめ」
「えぇぇぇ!?」
「量がおかしいもん」
「でもお得だよ!」
「お得でも食べきれないでしょ?」
「みんなで食べれば!」
「絶対ミリオが八割食べる」
「ばれた?」
「ばれてるから」
ユカリは呆れたように苦笑しながら、大きなチョコの袋を器用に棚へと戻した。
だが、その一瞬の隙を見逃すミリオではない。
「じゃあこれは?」
「……ミリオ」
「はい」
「なんでカートの底が見えなくなるくらいアイスで埋まってるの?」
「最近暑いからね!」
「寮の冷凍庫に入りきらないでしょ」
「あ、そうだった!」
ポンと手を叩き、素直にアイスを戻しに行くミリオ。