• テキストサイズ

【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第31章 病院




***

ねじれが帰った後、病室は再び静かになった。

とはいえ、その静寂も長くは続かない。

しばらくして病室の扉が開き、ユカリの両親がやって来たからだ。

「ユカリ!元気そうでよかった……!」

母親は病室に入るなり、ベッドの側まで駆け寄ると、そのままユカリをぎゅっと抱きしめた。

父親もその後ろからゆっくり歩いてくる。

「本当に心配したんだからな」

「ごめんね」

ユカリはベッドの上で苦笑する。

父親は椅子に座りながらすぐ隣の母親を指差した。

「お母さん、ご飯食べながら泣いてたんだぞ」

「ちょっと!」

母親が即座に反応する。

「お父さんだって泣いてたじゃない!」

「いや俺は泣いてないぞ」

「泣いてたわよ!」

まるで子供みたいな言い争いだった。

ユカリは思わず吹き出す。

病室の中に笑い声が広がる。

自分を大事にしてくれる両親。

心配性な母。

娘に甘い父。

誘拐されてからずっと緊張していた心。

それがみんなのおかげでほどけていく。

「あ、検査も問題ないって先生が言ってたよ」

ユカリがそう言うと、母親は目を丸くした。

「そうなの?」

「うん」

「本当によかった……」

母親は胸に手を当てて大きく息を吐く。

その様子に、どれほど不安だったのかが伝わってきた。

父親も安心したように頷く。

「帰ったら好きなもん食わせてやる」

「やった」

ユカリの顔が明るくなる。

「寿司か?」

「うん。お寿司食べたい」

「よし、回らないやつだな」

「お父さん調子乗らないで」

「乗ってない」

「乗ってるわよ」

こんな何気ない時間が、こんなにも嬉しいなんて思わなかった。

もう二度と戻れないかもしれない。

そう考えた夜があったからこそ、余計に。

その時だった。

コンコン。

病室の扉がノックされる。

三人は同時に振り返った。

夕日の光が扉を薄く照らしている。

「どうぞ」

ユカリが声をかける。




/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp