第31章 病院
ねじれは椅子を引いてベッドの横に座る。
「体はどう?」
「もう全然平気」
「ほんと?」
「ほんと」
「無理してない?」
「してない」
「ほんとに?」
「ほんとだってば」
ねじれはじーっとユカリの顔を覗き込む。
逃がさないと言わんばかりの視線だった。
ユカリは苦笑する。
そんな顔をされると、どれだけ心配をかけたのか分かってしまう。
しばらく見つめた後、ねじれはふっと肩の力を抜いた。
そして安心したように笑う。
「よかったぁ」
たったそれだけの言葉だった。
けれど。
その一言には沢山の感情が詰まっていた。
心配。
不安。
寂しさ。
そして安堵。
ユカリはそこで初めて気付く。
ねじれの目が少し赤いことに。
泣いたのだろう。
自分が知らないところで。
何度も。
何度も。
胸の奥がきゅっと締め付けられる。
この数日。
ユカリは苦しかった。
みんなと離れて。
ユカリの世界は少し複雑になって。
今も答えは見つからない。
でも。
ねじれもまた。
離れた場所で。
同じくらい苦しんでくれていたのだ。
「……ごめんね」
思わず漏れた言葉に、ねじれは首を傾げる。
「なんで?」
「……心配かけたから」
するとねじれは少しだけ眉を寄せて、すぐに笑った。
「それは違うよ」
優しい声だった。
「ユカリが無事なら、それでいいの」
その言葉に。
ユカリの胸の奥がじんわりと熱くなる。