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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第31章 病院





相澤は何も言わない。

ほんの数秒。

それだけで十分だったのだろう。

やがて手が離れる。

「じゃあな」

いつも通りの声。

けれどどこか柔らかかった。

「はい」

ユカリも笑って答える。

相澤は背を向けて扉へ向かう。

だが。

病室を出る直前、一瞬だけ足を止めた。

振り返りはしない。

「退院したら学校戻ってこい」

ただ静かに言う。

「みんな待ってる」

「特にあの5人」

「そして俺だ」

その言葉を残して。

扉が閉まる。

カチャン、と小さな音。

病室は再び静寂に包まれた。

ユカリはそっと頭に触れる。

まだそこに温もりが残っている気がして。

思わず頬が緩む。

普段は厳しくて。

不器用で。

あまり感情を表に出さない先生だけれど。

ちゃんと大切に思ってくれているのだとわかって。

ユカリは嬉しくなるのだった。




その頃、相澤は病院の廊下を歩いている。

背中には相変わらず疲労が滲んでいる。

それでも朝より少しだけ足取りは軽かった。

教え子が笑っていた。

それだけで十分だった。




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