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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第31章 病院





だからこそ、余計に思う。

もっと守りたかった。

教師として。

大人として。

この子が当たり前に笑っていられるように。

相澤は小さく息を吐いた。

「……今日は少し寝る」

ユカリが目を丸くする。

「本当ですか?」

「ああ」

「約束ですよ?」

「約束だ」

その言葉に、ユカリはようやく安心したように笑った。

病室の空気は穏やかだった。

先ほどまでの重苦しさは少しだけ薄れ。

ユカリも相澤も静かに言葉を交わしていた。

やがて相澤が時計を見る。

「……ああ、そうだ」

思い出したように口を開く。

「お前の両親にも連絡してある」

ユカリが顔を上げる。

「もうすぐ来る頃だろう」

「ありがとうございます」

お母さんとお父さんの顔が浮かぶ。

きっとたくさん心配をかけた。

まずは謝らないとな、なんてユカリは苦笑する。

「俺はそろそろ戻る」

相澤が椅子から立ち上がる。

「学校ですか?」

「ああ」

まだ仕事は山積みだ。

報告書もある。

反省文の確認もある。

本来なら休むべきなのだろうが、そう簡単にもいかない。

「じゃあ先生、気をつけてくださ――」

ユカリがそう言いかけたところで。

相澤の手が伸びる。

次の瞬間。

大きな手が、そっと頭の上に置かれた。

撫でるわけではない。

ただ静かに。

一度だけ。

ユカリは目を見開いた。

こんなことをされたのは初めてだ。

相澤は基本的に必要以上のスキンシップをしない。

褒める時だって言葉だけ。

頭を撫でられたことなど一度もない。

だから余計に驚いた。

でも。

少しくすぐったかった。

言葉にしなくても伝わるものがあったからだ。

大丈夫だ。

無事でよかった。

よく頑張った。

そんな優しさが。

不器用な教師らしい気遣いが。

手の温もりから伝わってきた気がした。


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