第30章 反省文
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放課後の空き教室。
相澤から「反省文五十枚」を言い渡された五人は、仲良く同じ教室に押し込まれていた。
机が五つ並べられ、その上には原稿用紙の山。
全員で二百五十枚もある。
まるで小さな出版社でも開けそうな量だった。
黒板には相澤が去り際に書き残した文字。
『五十枚終わるまで帰るな』
圧がすごい。
誰も消そうとしなかった。
静かだった。
とても静かだった。
カリカリ、とペンの音だけが響く。
……一人を除いて。
「五十枚かぁ〜!厳しいよねぇ〜!」
元気な声が教室中に響く。
ミリオだった。
「いやぁ、でもさ!ユカリが無事だったから結果オーライじゃない!?もちろん怒られるのはわかるけど!」
「ミリオ」
環が顔も上げずに言う。
「……静かにして」
「ごめん!」
一秒後。
「でも五十枚ってすごくない!?小説書けるよ!?」
「ごめんって言って一秒も経ってねぇ」
爆豪がペンを動かしながら吐き捨てる。
「えっ、爆豪くんもう三枚目!?」
「うるせぇ」
「字めちゃくちゃ綺麗だね!?」
「うるせぇ」
「しかも速い!!」
「うるせぇ」
完全に無視モードだった。
その隣では出久が背筋を伸ばし、真面目な顔で原稿用紙と向き合っている。
『今回の件につきまして、私は規則を逸脱した行動を――』
既に二枚目。
内容も文体も完璧だった。
反省文の模範解答があるなら、きっとこんな感じである。
一方で轟。
『無許可で救出作戦を行った。悪かったと思う。』
終了。
一枚。
終わり。
ペンを置いた。
出久が二度見した。
「轟くん!?」
「なんだ」
「終わらないよそれ!?」
「そうなのか?」
「そうだよ!?」
轟は本気で驚いていた。
心の底から驚いていた。
「反省文って反省を書くんじゃないのか」
「書くけど!!」
「反省してる」
「してるのは伝わるけど!!」
出久が頭を抱える。
その横で環がぼそりと言った。
「……轟、あと四十九枚」
轟が固まった。
「四十九枚も必要なのか」
「必要なんだよぉ……!」
出久が遠い目をする。