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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第29章 救出





死柄木はフェンスに背を預けたまま、遠くから聞こえる戦闘音をぼんやりと聞いていた。

そして、思い返す。

ユカリのことを。


――最初は、ただ気に入らなかった。


雄英高校の生徒。

ヒーローの卵。

それだけなら、どうでもよかった。

ある日雄英を観察していて気付いた。

ユカリはいつも中心にいると。

誰かを肩書きで見なかった。

ヒーローだから。

ヴィランだから。

善人だから。

悪人だから。

そんなもので線を引かない。

もっと奥を見る。

その人間が何を考えているのか。

何に苦しんでいるのか。

何を失ったのか。

そこを見ようとする。

それが死柄木は気に入らなかった。

そんな人間がいること自体が。

だってそうだ。

もし誰かが昔の自分を見つけていたら。

誰かが手を差し伸べていたら。

あの日。 

あの時。

自分は今ここにいなかったかもしれない。

そんな考えが頭をよぎる。

それが嫌だった。

だから連れてきた。

雄英から引き剥がした。

ヒーローから遠ざけた。

自分たちの側へ置いた。

壊れると思った。

失望すると思った。

ヴィランの現実を見れば。

人間の醜さを見れば。

きっと変わると思った。

だが変わらなかった。

トゥワイスの話を聞いても。

トガの過去を知っても。

荼毘の目を見ても。

ユカリは誰一人切り捨てなかった。

同情とは違う。

肯定とも違う。

ただ理解しようとしていた。

それが死柄木には恐ろしかった。

ユカリは人を変える。

説教なんかしない。

理想を押し付けたりもしない。

ただ向き合う。

それだけだ。

それだけなのに。

少しずつ人の奥に入り込んでくる。



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