• テキストサイズ

【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第29章 救出





死柄木は屋上のフェンスにもたれた。

「別に戦う気はない」

その言葉に嘘はない。

「お前を壊したいわけでもない」

ユカリはわかっていた。

ここ数日。

ヴィラン連合の過去を聞いた。

死柄木の仲間の話も聞いた。

理解したとはまだ言えない。

だが理解しようとはしていた。

そして死柄木もそれを知っている。

だからこそ。

無理やり傷付けることもできなかった。

「……でも帰してもくれないんだ?」

ユカリが苦笑して聞く。

「まぁな」

死柄木は少しだけ笑った。

「帰したら全部終わる」

風が吹く。

白い髪が揺れる。 

「お前と話せなくなるしな」

その言葉にユカリは僅かに目を見開いた。

死柄木自身も少し意外そうだった。

思わず本音が出たらしい。 

数秒の沈黙。

屋上を吹き抜ける夜風が二人の間を通り過ぎる。

「……私は」

ユカリが目を伏せて言う。


「一緒には行けない」


ぽつりと落ちる言葉。

死柄木は一瞬だけ目を細めた。

そして呆れたように鼻で笑う。

「それが誘拐した奴に向かって言う台詞か?」

ユカリの髪が風に靡く。

「……最初はそうだった」

「でも今は違う。そうでしょ?」

死柄木は何も言わなかった。

その顔は少しだけ困ったようにも見える。

呆れているようにも見える。

やがて小さく息を吐いた。

「……やっぱ変な奴だな、お前」

死柄木は笑った。

ほんの少しだけ。



/ 575ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp