第29章 救出
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遠くから響く爆発音と衝撃。
建物全体が小刻みに揺れていた。
監禁部屋の中で、ユカリは静かに立ち上がる。
誰かが来てる。
誰かが。
戦ってる。
まさか。
「……みんな?」
そう思った瞬間、胸の奥が熱くなる。
違うかもしれない。
でも。
もし。
みんなだったら。
どこかで期待してる自分がいる。
「…………」
ユカリは扉を見つめる。
逃げるなら今かもしれない。
混乱に乗じた今なら。
逃げられる。
隙は生まれる。
ガチャリ。
扉のロックが解除される音。
ユカリの目が鋭くなる。
来た。
誰が来たとしても関係ない。
扉が開いた瞬間が勝負だ。
ゆっくりと扉が開く。
その隙間から見えたのは黒いコート。
荼毘―――
確認した瞬間、ユカリは動いた。
床を蹴る。
開き切る前の扉へ向かって一気に飛び出す。
真正面突破。
考えている暇などない。
今しかない。
だが。
「あー」
低い声。
次の瞬間、荼毘の腕が伸びた。
ユカリの腕を掴むわけでもない。
行く手を塞ぐように壁へ手をつく。
ドン。
逃げ道が消える。
ユカリは咄嗟に止まった。
荼毘は呆れたようにため息をつく。
「やめとけ」
ユカリは睨み上げる。
「……どいて」
「嫌だね」
警報が鳴り続ける。
遠くで爆発音が響く。
荼毘は壁にもたれながら言う。
「扉開いた瞬間に来ると思った」
「………」
「その顔」
少し笑う。
「ずっと狙ってたろ」
図星だった。
ユカリは何も言い返さない。