第29章 救出
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東階段から駆け上がる爆豪と出久。
目の前に現れる敵をどんどん蹴散らしていく。
『2階現着!みんなは?』
3階の通路を走っているとインカムからミリオの声が流れてきた。
急いで出久が答える。
「3階現着!ユカリ先輩を探します!」
『こちら轟。4階現着。確認後、足止めする』
巨大研究施設。
ユカリがどこに監禁されているかもわからない。
だから階を手分けして、最上階まで虱潰しに消していくしかない。
「チッ、広すぎんだろ」
入り組んだ構造に爆豪が苛立つ。
時間も限られている。
一刻も早く見つけなければ―――
その時だった。
目の前の天井から人影が降ってきた。
クルリと軽やかに着地する。
金髪の少女。
制服のような服。
手にはナイフ。
「やっほー♡」
トガヒミコだった。
二人の足が止まる。
「トガヒミコ……!」
出久が思わず名前を口にする。
「久しぶりだねぇ、出久くん♡」
嬉しそうな笑顔。
まるで友達に会ったかのような声だった。
だが爆豪は即座に構える。
「どけ」
殺気を含んだ低い声。
トガは笑った。
「えー?嫌だよぉ」
ナイフを指で回す。
「だってユカリちゃん助けに来たんでしょ?」
その名前が出た瞬間。
爆豪と出久の表情が変わった。
トガはそれを見てさらに笑う。
「本当に大事なんだね」
「黙れ」
爆豪の掌から火花が散る。
「どけっつってんだろクソヴィラン」
「怖ぁい♡」
トガは楽しそうだった。
だがその目は鋭い。
時間稼ぎ。
それが自分の役目だとトガは理解している。
「ねぇ出久くん」
「もしユカリちゃんがヴィラン側に来たらどうする?」
トガが首を傾げながら問う。
「ありえない」
出久は即答した。
迷いなく。
トガは少しだけ目を丸くする。
そして寂しそうに笑った。
「そういうとこ好きなんだけどなぁ」
次の瞬間、爆破で突っ込む音がした。
「邪魔だ退けェ!!」
轟音。
爆発。
戦いは始まる。