第29章 救出
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その紙が見つかってから三日後。
ついに転機が訪れる。
発端は出久だった。
大量の資料。
目撃情報。
物流ルート。
黒霧の移動記録。
ヴィラン連合が過去に利用した拠点。
徹夜同然で分析を続けていた。
そして。
「ここだ」
地図の一点を指差す。
廃棄された研究施設。
山中。
人の出入りが少ない。
だが、食料や物資の流れだけが不自然だった。
ミリオが身を乗り出す。
「確率は?」
「高いです」
出久は断言した。
「今までで一番」
爆豪が立ち上がる。
「行くぞ」
誰も異論を言わない。
その日の夜。
五人は山へ向かっていた。
月明かりだけが頼りだった。
風が木々を揺らす。
施設が見えてくる。
古い研究棟。
外見は廃墟。
その高さは5階建てにもなる。
だが、確実に人の気配がある。
ミリオが施設を見上げながら言う。
「……恐らく各階に戦力を配置してる。侵入者を足止めするために」
出久も頷く。
「敵は僕たちが来ることを予想してる可能性もあります」
「だから何だ」
爆豪が前へ出た。
「そん時は全部ぶっ飛ばして進むだけだろ」
ユカリを助ける。
そのためだけにここへ来たのだ。
ミリオは皆を見渡した。
「目的はひとつ」
いつもの明るい笑顔はない。
あるのは、プロヒーローを目指す者としての真剣な眼差し。
「ユカリの救出だ」
全員が頷く。
ユカリを連れ帰る。
今夜、必ず。
五人は闇の中を駆け出す。
研究施設の正面入口へ。
そして――
轟が巨大な氷で入口を吹き飛ばした。
轟音。
砕け散る鉄扉。
警報が鳴り響く。
侵入を知らせる赤い警告灯が施設中を染め上げた。
「来たぞ!!」
「ヒーローだ!!」
一階の広間から飛び出してくるヴィランたち。
だが。
「邪魔だァ!!」
爆豪の爆破が先頭集団を吹き飛ばす。
続いて轟の氷。
出久の黒鞭。
ミリオの突撃。
環の変幻自在な攻撃。
そのまま正面突破する五人。
一気に中央ホールまで駆け抜ける。
だが。
そこで足が止まる。
ホールから先は三方向に分岐していた。
東側階段。
西側階段。
そして中央吹き抜けを囲むメイン階段。
どれも上階へ続いている。