第29章 救出
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翌日。
ヴィラン連合のアジト。
ユカリは目を覚ます。
昨夜はほとんど眠れなかった。
爆豪。
轟。
出久。
そして。
ミリオ。
環。
みんなの顔が何度も頭に浮かんでいた。
昨日のトガの話が本当なら。
探してくれている。
その事実だけで少しだけ安心した。
だが同時に不安もある。
危険な目に遭ってほしくない。
ヴィラン連合は甘くない。
死柄木も。
荼毘も。
黒霧も。
みんな。
相手は本物の敵だ。
その時だった。
アジトの奥から騒がしい声が聞こえる。
「うわぁぁぁぁ!!」
誰かが叫んでいる。
「なんでここに穴が開いてんだ!?」
トゥワイスだった。
「だから言ったじゃん!」
続いてトガの声も聞こえる。
「侵入経路の再確認は必要だって!」
「いや言ってねぇ!」
「言ったよ!」
「言ってねぇ!」
騒がしい。
ユカリは思わず顔を上げる。
数分後。
死柄木が廊下を歩いていく。
機嫌が悪い。
かなり悪い。
首を掻いている回数が多い。
ユカリは扉の隙間からそれを見た。
何かあった。
間違いなく。
その日の昼。
食事を持ってきたコンプレスが珍しく疲れた顔をしていた。
仮面の上からでもわかるほど。
「何かあったの?」
ユカリが聞く。
コンプレスは少し黙る。
本来なら話すべきではない。
だが。
「……侵入されちゃってねぇ」
ぽつりと言った。
ユカリの目が見開く。
「え?」
「ま、正確には未遂なんだが」
コンプレスは苦笑した。
「廃工場の一つが見つかった」
ユカリの心臓が大きく跳ねる。
「……誰に」
「予想はつくだろう?」
コンプレスは肩を竦めた。
「通形くん」
「天喰くん」
「爆豪くん」
「轟くん」
「緑谷くん」
ユカリは息を呑んだ。
本当に動いている。
それも想像以上に。
コンプレスは続けた。
「危うく情報を掴まれるところだった」
「それで今朝方、急いで拠点を整理したんだ」
だからアジトが騒がしかった。
ユカリはゆっくりと俯く。
安心。
嬉しさ。
心配。
全部が混ざる。