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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第28章 焦燥




「でも」 

その言葉の後。

母親は少しだけ笑った。

「ユカリですから」

相澤は目を見開く。 

「きっと簡単には負けません」

父親も頷く。

「昔からそういう子です」 

「いつも人のことばかりで、自分はなんでも後回しで」

母親が少し笑う。

「我慢強いんです」

「困った子ですよね」

父親も笑った。

ほんの少しだけ。

苦しいはずなのに。

不安なはずなのに。

それでも娘を信じている。

その姿があまりにもユカリらしかった。

親子なんだな、と相澤は思う。

責任感が強くて。

誰かを信じることができて。

簡単には折れない。

ユカリと同じだった。

「だから」

父親が言う。

「先生」

相澤は顔を上げる。

「娘をお願いします」

その言葉に。

相澤の胸が強く締め付けられた。

信頼だった。

責めることもできる。

怒ることもできる。

それなのに。

この人たちは託した。

娘を。

自分たちに。

「……はい」

短い返事しかできなかった。

喉が詰まる。

感情を表に出すことは少ない。

教師になってからも。

ヒーローになってからも。

ずっとそうだった。

だが今だけは。

胸の奥が熱かった。

絶対に連れ戻す。

教師としてではなく。

もう少し個人的な感情で。

そう思った。

ユカリをこの家へ帰す。

待っている人たちの元へ。

必ず。

朝日が窓から差し込む。

静かな部屋の中で。

相澤は改めて強く決意を固めていた。


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