第28章 焦燥
***
翌未明。時刻は午前三時。
窓の外はまだ真っ暗だった。
長机を囲むのは、警察関係者、プロヒーローたち、そして雄英教師陣。
誰一人として眠っていない。
疲労は限界に近い。
それでも席を立つ者はいなかった。
会議室の中央には大量の資料が並んでいる。
現場の地図。
目撃証言。
ヴィラン連合の情報。
そして一番上には、ユカリの写真。
その写真を見るたびに、会議室の空気が重くなる。
「状況を整理します」
警察関係者が資料を開いた。
静かな声だった。
「現時点で判明している内容から判断して、ヴィラン連合の目的は明確です」
資料がスクリーンに映し出される。
敵の侵入経路。
戦闘地点。
ヴィランの移動記録。
赤い印が一本の線で繋がっていた。
「敵はこのユカリ生徒を狙っていました」
静寂。
誰も口を挟まない。
「襲撃開始直後から敵の行動は一貫しています」
資料が切り替わる。
「複数のヴィランがユカリ生徒の周辺へ集中」
さらに。
「ユカリ生徒の移動先へ先回りするような行動も確認されています」
会議室の空気がさらに重くなる。
つまり。
偶然ではない。
成り行きでもない。
最初から計画的だった。
「目的は不明です」
オールマイトが目を閉じる。
グラントリノが腕を組む。
「ですが少なくとも、敵はユカリ生徒を必要としていました」
必要。
その言葉が嫌に耳に残る。
相澤は腕を組んだまま目を閉じた。
苛立ちが消えない。
ユカリは警護担当だった。
だから前線にいた。
だから狙われた。
いや、違う。
警護担当でなくても結果は変わらなかっただろう。
敵は最初からユカリを探していた。
ユカリを見つけるために襲撃した。
そう考えた方が自然だった。
その事実が余計に気持ち悪い。
なぜユカリなのか。
なぜそこまで執着するのか。
何も分からない。