第27章 ヴィラン連合
死柄木はゆっくり顔を上げる。
赤い瞳がユカリを捉える。
その目はいつもよりずっと静かだった。
「お前さ」
ぽつりと言う。
「変なやつだな」
いつもなら苛立ち混じりに言う言葉。
だが今は違う。
困惑している。
理解できない。
だから目が離せない。
ユカリの言葉は、死柄木が心の奥底でずっと抱えていた願いに触れてしまった。
――誰か一人でも。
――自分たちがこうなった理由を知ろうとしてくれたら。
その願いに。
ユカリは無自覚に触れてしまった。
死柄木は視線を逸らす。
胸の奥が妙にざわつく。
腹立たしいのに。
少しだけ救われたような気分になる自分がいる。
それが余計に気に入らなかった。
「……だから嫌なんだよ」
ぼそりと呟く。
ユカリには聞こえないくらい小さな声で。
壊したいはずなのに。
否定したいはずなのに。
その言葉だけは、どうしても壊せなかった。
死柄木は再びユカリを見る。
それは今まで見るヴィラン候補でも、人質でも、敵でもない。
初めて。
もし違う人生だったら、自分たちの隣にいたかもしれない人間。
として見てしまっていた。