第27章 ヴィラン連合
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その夜。
ユカリは眠れなかった。
薄暗い天井を見つめながら、昼間のトゥワイスとの会話を思い返していた。
居場所。
その言葉が頭に残る。
雄英に入学してから。
ユカリは当たり前のように仲間がいた。
環がいて。
ミリオがいて。
ねじれがいて。
後輩たちがいて。
笑い合える場所があった。
けれど。
もしそれがなかったら。
もし誰も手を差し伸べてくれなかったら。
どうなっていたのだろう。
「…………」
考えたくなかった。
同情したいわけじゃない。
許したいわけでもない。
実際に彼らは人を傷付けている。
拉致もした。
自分だって被害者だ。
それでも。
ただ「悪人」の一言で片付けるには。
彼らの話はあまりにも人間臭かった。
***
翌朝。
部屋の扉が開く。
「おはよー!」
トガヒミコだった。
ユカリは反射的に身構える。
「そんな警戒しなくても〜」
トガは笑いながら部屋へ入る。
「朝ごはん持ってきた!」
机にトレーを置く。
ユカリは少し驚いた。
昨日からずっとそうだ。
拘束されている。
誘拐されている。
なのに。
扱いが妙に丁寧だった。
「なんで」
ユカリが聞く。
「ん?」
「なんでこんなことするの」
トガは不思議そうに首を傾げる。
「ご飯のこと?」
「違う。誘拐」
その瞬間、トガの笑顔が少し消えた。
「だって」
椅子に腰掛けて笑う。
「好きだから」
ユカリは眉をひそめる。
「好き……?」
「うん」
トガは楽しそうに頷く。
「ユカリちゃんって人を助けるじゃん」
「傷付いても」
「泣いてても」
「嫌な顔しないじゃん」
その目が細くなる。
「だから好き」
ユカリは言葉に詰まる。
トガは椅子を揺らしながら続ける。
「私ね」
「昔から変だったの」
声が少し静かになる。
「好きな人を見ると」
「その人になりたくなっちゃうの」
「その人の血が欲しくなるの」
トガヒミコ。
ヴィラン連合の一員。
異常な愛情表現を持つ少女。