第27章 ヴィラン連合
「ここから出して」
先に口を開いたのはユカリだった。
「嫌だ」
即答する死柄木。
「帰らせて」
「帰さない」
だめだ。会話にならない。
死柄木は壁にもたれた。
「安心しろ」
ユカリは眉をひそめる。
「今のところ殺す気はない」
今のところ。
その言葉がユカリの不安を煽る。
「私をどうするつもり」
死柄木は少し考える。
「見てもらう」
「俺たちを」
静かな声だった。
「お前はヒーロー側しか知らない。だから違う景色も見ろ」
「………断ると言ったら?」
死柄木は少し笑った。
「そう言うと思った」
そして首を掻く。
「でもしばらくは無理だ」
「お前には選択権がない」
ユカリは拳を握る。
わかっている。
今は逃げられない。
相手の拠点。
敵地。
人数差。
情報差。
全部が不利。
焦っても仕方ない。
だからまずは生きる。
情報を集める。
隙を探す。
必ず帰る。
みんなのところへ。
雄英へ。
そして。
ユカリの頭に浮かんだのは。
「…………」
爆豪。
轟。
出久。
最後に見た三人の顔だった。
死柄木はそんなユカリを見ていた。
何を考えているのか。
何を思っているのか。
わからない。
ただ一つだけ。
ユカリの目から希望が消えていないことだけは。
はっきりとわかった。
それを見た死柄木は小さく舌打ちした。
「やっぱり気に入らないな」
その呟きは。
薄暗い部屋の中に静かに消えていく。