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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第26章 林間合宿




ユカリはしばらく黙った。

呼吸を整えて、痛む体を支える。

そして小さく笑った。

「わからない」

死柄木が眉を動かす。

「は?」

「自分でもわからない」

ユカリは正直に答えた。

風が吹く。

木の葉が舞う。

「ただ」

ユカリはゆっくり顔を上げた。

「泣いてる人を放っておくのは嫌だから」

その目はまっすぐだった。


「涙は出なくても」

「心が泣いてる人もいる」


死柄木は黙る。

トガも。

コンプレスも。

荼毘ですら少しだけ目を細めた。

ユカリは続ける。

「湊くんもそう」

「凛もそう」

「環も」

「ミリオも」 

「ねじれも」

そして少しだけ笑う。

「1年生のみんなも」

頭の中に浮かぶ。

爆豪。

轟。 

出久。

みんなの顔。 

「助けたいから助ける。理由なんてそれで十分だと思うから」

しばらく沈黙が流れた。

死柄木はユカリを見つめる。

そしてゆっくりと笑った。

どこか乾いた笑み。

「やっぱり気に入らない」

その声には本音が滲んでいた。

「そういうところだよ」

死柄木が手を上げる。

周囲の空気が変わる。 

もう会話は終わりだった。

「連れていく」

ユカリも構える。

だが、足は震えている。

体力も限界に近い。

それでも。

膝はつかない。

勝てない。

わかっている。 

逃げられない。

それもわかっている。

だけど。

諦める理由にはならない。

死柄木が一歩踏み出した。

その瞬間。

ユカリは願う。

相澤先生。

みんな。

気付いて。

お願いだから早く―― 

すると。

遠くの森の向こうから轟音が響いた。

木々をなぎ倒すほどの勢いで。

誰かがこちらへ向かってくる。

死柄木の目がわずかに動く。 

ユカリも顔を上げた。 

そして次の瞬間。

夜の森に、聞き慣れた怒声が響き渡った。

「ユカリーーー!!!!」

それは。

ここまで聞こえるはずのないほど遠くから放たれた爆豪の声だった。



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