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【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第26章 林間合宿




風が木々を揺らす。

遠くではまだ戦闘音が響いている。

だが、この場所だけは妙に静かだった。

「…………」

ユカリは一歩も動かない。

視線は死柄木から外さない。

周囲にはヴィラン連合。

逃走経路も簡単には確保できない。

それでも。

怯えた様子はなかった。

「話すことなんてない」

きっぱりと言い切るユカリ。

死柄木は首を掻いた。

「あるさ」

乾いた笑い。

「こっちには」

死柄木は構わず続ける。

「ユカリ」

名前を呼ぶ。

まるで知人に話しかけるような口調だった。

「お前さ」

「なんでヒーローやってる?」

突然の問いにユカリは眉をひそめる。

「……あなたに関係ない」

「ある」

死柄木は即答した。

「すごくある」

トガヒミコが近くの木にもたれながら楽しそうに二人を見ている。

Mr.コンプレスも黙って成り行きを見守っていた。

荼毘は相変わらず興味なさそうだ。

「誰かを助けたいから?」

死柄木が言う。

「誰かを笑顔にしたいから?」

「夢だから?」

どれも否定はしない。

だが肯定もしない。

ユカリは静かに死柄木を見ていた。

すると死柄木がふっと笑う。

「気持ち悪いよな」

その言葉に周囲の空気が少し変わる。

「他人のために傷付く」

「他人のために泣く」

「他人のために戦う」

「意味がわからない」

死柄木の声には本気の嫌悪が滲んでいた。

「なのにお前はやる。だから見てた」

ユカリの目がわずかに細くなる。

死柄木は続ける。

「祭りの日も」

「迷子のガキの時も」

「全部見てた」

トガがくすっと笑う。

「すごかったよねぇ。泣いてる子ぎゅーってしてた」

ユカリは何も答えない。

だが胸の奥がざわつく。

ずっと見られていた。

その事実に。

死柄木は一歩前へ出た。

「だから決めた」

「お前が欲しい」

はっきりと言った。

まるで物を指すように。

まるで戦力を数えるように。

ユカリの表情が険しくなる。

「断る」

即答だった。

死柄木は予想していたように肩を竦める。

「だろうな」

「最初から期待してない」

その言葉にユカリは違和感を覚える。

 

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