第26章 林間合宿
夜の森。
一年生たちはまだ肝試しの最中だった。
「ぎゃああああ!!」
「だから峰田うるさい!!」
「だって絶対何かいた!!」
そんな声すら聞こえる。
一見すれば平和な夜。
だが。
その均衡は、あまりにも突然崩れた。
ドォォォン!!
山の反対側で爆発音が響く。
地面が揺れる。
鳥たちが一斉に飛び立った。
『何!?』
ねじれの声。
その直後。
教師陣のインカムが慌ただしくなる。
『北西側で爆発確認!』
『生徒を保護しろ!』
『全員配置につけ!』
ユカリの表情が変わる。
来た。
その瞬間だった。
反対方向。
さらに別の場所から炎が上がる。
『南側でも敵影確認!!』
『複数です!!』
インカムが騒がしくなる。
一か所ではない。
二か所でもない。
次々に異常が発生していた。
『通形!』
相澤の声。
『北西側へ向かえ!』
『了解!!』
ミリオが即答する。
『波動!』
『はーい!』
『南側支援!』
『了解!』
次々に戦力が割り振られる。
教師たちも動く。
強敵が確認された場所へ。
被害が大きい場所へ。
当然の判断。
正しい判断。
だからこそ。
敵の狙い通りだった。
『ユカリ』
相澤の声が飛ぶ。
『1年A組の位置を確認しろ』
『了解』
ユカリは即座に動く。
森を駆ける。
爆豪。
轟。
出久。
上鳴。
切島。
どんどん全員の位置を頭に入れる。
今のところ大きな異常はない。
だが。
胸の違和感だけが大きくなる。
その頃。
森のさらに奥。
誰にも見えない場所。
木の上に座っていたトガヒミコが笑う。
「引っかかった」
その隣でMr.コンプレスが帽子を押さえる。
「実に美しい誘導ですな」
遠くでは荼毘の炎が上がっている。
別方向では他の構成員が暴れている。
派手に。
わざと。
教師たちの目を引くように。
トガは双眼鏡を覗く。
その先に走るユカリ。
「いた」
嬉しそうに呟く。