第26章 林間合宿
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夜の山。
昼間とはまるで別世界だった。
木々の隙間から差し込む月明かり。
風に揺れる葉の音。
どこからともなく聞こえる虫の声。
そして。
時折響く一年生たちの悲鳴。
「うわああああっ!!」
「ちょ、待って!!置いてかないでぇぇぇ!!」
「峰田うるさい!!」
遠くから聞こえてくる声に、思わずユカリは笑った。
肝試しコースから少し離れた高所。
ユカリは周囲を見渡しながらインカムを押す。
『今の絶対峰田くんだよね』
『百パーセント峰田だと思う』
別の場所でB組を警護中の環も即答する。
『間違いないね〜!』
ねじれも笑っている。
『いや〜肝試し懐かしいね!環が怖くて足すくんでユカリが引き摺ってゴールしたやつ!!』
突然ミリオが爆弾を投下して、インカムが一瞬静かになる。
数秒後。
『……ミリオ』
環の声がやたらと低い。
『なに?』
『その話はしない約束だった』
『してないよ!?』
『俺の中でしてた』
ユカリが吹き出した。
『あったね、そんなこと』
『……あの頃のユカリ、今より容赦なかった』
『環が怖がりすぎだったの』
『違う』
環が即反論する。
『あれは暗かったから』
『肝試しだからね』
『……静かだった』
『肝試しだからね』
『なんか出そうだった』
『肝試しだからね』
『……だから仕方なかった』
『ははは!言い訳が苦しいな〜!』
ユカリと環の会話を聞いていたミリオが笑う。
インカム越しにねじれの楽しそうな笑い声も聞こえた。
一見するといつも通りだった。
和やかな会話。
軽口。
笑い声。
だが。
全員が警戒は解いていない。
ユカリは視線を森へ向ける。
静かだ。
静かすぎる。
『ユカリ?』
ミリオの声。
『うん?』
『どうした?』
少しの沈黙。
ユカリは目を細めた。
『……まだ違和感が消えなくて』
インカムの向こうが静かになる。
それを聞いた三人は冗談をやめた。