第26章 林間合宿
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林間合宿施設から数キロ離れた山中。
人の気配のない廃棄された山小屋。
その中には異様な空気が漂っていた。
ランタンの薄暗い光。
壁に貼られた地図。
雄英の合宿施設周辺を示す簡易図面。
そして、その前に立つ男。
死柄木弔。
指先で首を掻きながら地図を見つめている。
部屋の中にはヴィラン連合の面々が集まっていた。
黒霧。
荼毘。
トガヒミコ。
Mr.コンプレス。
そして他の構成員たち。
誰も軽口を叩かない。
今夜が実行日だからだ。
静寂を破ったのは死柄木だった。
「雄英は馬鹿じゃない」
かすれた声。
「当然警戒してる」
誰も反論しない。
事実だった。
以前、襲ったことがあるUSJ以降。
雄英は前とは違う。
教師の数も増えた。
警備も強化された。
生徒たちの戦力も上がっている。
正面から突っ込めばどうなるか。
結果は見えている。
死柄木は続けた。
「だから正面からはやらない」
荼毘が煙を吐く。
「当然だな」
死柄木は地図を指差す。
「人間は危機が起きた時、優先順位を作る」
誰もが自然にそうする。
火災が起きたら火を消す。
怪我人が出たら救助する。
敵が現れたら迎撃する。
限られた戦力を最も危険な場所へ送る。
ヒーローも同じ。
むしろヒーローだからこそそうなる。
「奇襲を起こす」
死柄木の指が地図を滑る。
「複数箇所で」
黒霧が静かに補足する。
「意図的に戦線を拡散させるということですね」
「そうだ」
死柄木は頷く。
「教師は必ず強い敵を優先する」
それは合理的判断だ。
プロヒーローは限られている。
ならば危険度の高い場所へ送られる。
例えば、荼毘。
例えば、コンプレス。
例えば、上位戦闘員。
彼らが暴れれば教師はそちらへ向かう。
オールマイトも。
相澤も。
プロヒーローたちも。
そうなると何が起きるか。
死柄木は笑った。
「穴ができる」
その言葉にトガが楽しそうに首を傾げる。
「その穴から連れてくるの?」
「そう」
単純な話だった。
戦争をするつもりはない。
勝つ必要もない。
目的は一つ。
ユカリ。
それだけ。