第26章 林間合宿
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その日の夕方。
訓練を終えたユカリは一人で施設の外縁を歩いていた。
森を見る。
風が吹く。
葉が揺れる。
何もない。
本当に何もない。
それなのに。
胸がざわつく。
「……なんなんだろう」
ユカリは目を閉じた。
昔からだった。
理屈じゃない。
説明もできない。
けれど。
何かがおかしい時だけは妙にわかる。
何かが引っかかる。
そして今回も。
その感覚は消えない。
むしろ強くなっていた。
夕暮れの森。
長く伸びる木々の影。
静かすぎるほど静かな空気。
ユカリは思う。
もしヴィランが来るなら。
もし何かが起きるなら。
それは正面からの襲撃じゃない気がする。
もっと明確な目的がある。
そんな気がしてならなかった。
遠くで夕食を知らせるベルが鳴る。
楽しそうな生徒たちの声が聞こえる。
平和な合宿。
順調な訓練。
笑い声。
談笑。
何も問題はない。
なのにユカリだけが。
嵐の前の静けさみたいなものを感じ続けていた。