第26章 林間合宿
「まだ確定じゃないが、林間合宿中に接触してくる可能性もある」
「…………」
「もちろん教師陣が警護する。だが、何が起こるかわからない。イレギュラーは必ず発生すると思っておいた方がいい」
ユカリは黙って話を聞く。
「今年の1年は個性も戦闘能力も高い」
「だからその分、狙われる可能性が高い」
相澤は続ける。
「そこで今回、生徒側からも下級生を守れる人材を配置することになった」
机の上に置かれた資料へ視線を落としながら言う。
「当日は1-Aの警護を通形とユカリ」
「1-Bの警護を波動と天喰に頼みたい」
そして最後に相澤はユカリを見る。
「いけるか」
確認の言葉。
だがユカリに迷いはなかった。
もしヴィラン連合が本当に現れるなら――絶対に被害を出すわけにはいかない。
それが1年生ならなおさらだ。
ユカリは真っ直ぐ相澤を見返した。
「いけます」
即答だった。
相澤は小さく頷く。
「そう言うと思った」
相澤はわずかに目を細める。
「だが無理はするな。お前たちも守られる側だってことは忘れるなよ」
「……はい」
職員室を出る頃には空は夕焼けから群青色へ変わり始めていた。
廊下を歩きながら、ユカリは小さく息を吐く。
林間合宿。
楽しい行事になるはずだった。
だが胸の奥には、どこか言葉にできない違和感が残る。
それはきっと。
教師たちが警戒している空気を感じ取ったからか。
それとも――。
まだ見えない何かが、確かに近付いているからなのか。
ユカリは知らない。
その頃、遠く離れた場所で。
ヴィラン連合もまた、同じ日を待っていることを。