第25章 夏祭りボランティア
***
神社裏の林。
木々に囲まれた小さな広場。
そこだけが異様な空気に包まれていた。
「大丈夫だ!」
ミリオが両手を広げる。
「君を助けに来たんだ!」
しかし。
その言葉に反応した瞬間だった。
パァァァッ!!
男の子の身体が眩しく発光する。
「ひっ……!」
震える声。
涙でぐしゃぐしゃの顔。
五歳。
まだ幼い。
ただ親とはぐれただけ。
それなのに。
周囲には知らない大人。
知らないお兄さんお姉さん。
次々に話しかけられる。
怖くないわけがない。
ドンッ!!
空気が爆ぜる。
近くの石灯籠が浮き上がる。
落ち葉が竜巻のように舞う。
「下がれ!」
轟が叫ぶ。
氷が展開される。
だが攻撃ではない。
飛んでくる瓦礫を受け止めるためだ。
爆豪も舌打ちする。
「チッ……!」
近付けない。
助けたいのに。
誰も近付けない。
男の子は完全にパニック状態だった。
「お母さん……」
震える声。
「お母さん……」
その一言が胸に刺さる。
出久が一歩前へ出る。
「君、大丈夫だから!」
できるだけ優しく。
できるだけ安心させるように。
だが。
男の子は首を振った。
「やだぁぁぁ!!」
閃光。
爆発。
浮遊。
複数の現象が同時に起こる。
個性が完全に制御を失っている。
「くっ……!」
出久も後退を余儀なくされる。
このままでは駄目だ。
だが。
下手に近付けば。
男の子自身が傷つく可能性もある。
誰も無理に踏み込めない。