第25章 夏祭りボランティア
『見つけた!!』
インカム越しに響く声。
それは――ねじれだった。
『北東!神社裏の林の方!!』
声が弾む。
『今光った!!』
直後。
ドォン!!
夜空に巨大な閃光が打ち上がる。
まるで花火。
だが。
今度は違った。
全員が位置を見た。
見失わなかった。
ユカリは即座に走り出す。
「神社裏!」
『了解!』
出久も。
爆豪も。
轟も。
環も。
ミリオも。
近くにいたヒーロー科の生徒たちが一斉に動く。
砂利道を蹴る音。
祭り客の間を縫うように走る影。
インカムでは位置情報が次々共有される。
『林の入り口確認!』
『こっちだ!』
『人払い始める!』
『一般客を近付けるな!』
連携は完璧だった。
けれど。
まだ見つかったわけではない。
わかったのは。
あの子が。
この広い祭り会場のどこかではなく。
神社裏の林周辺にいるということだけ。
不安で。
怖くて。
泣くのを我慢している五歳の男の子が。
その先にいる。
ユカリは走る。
息を切らしながら。
夜の林へ向かって。
「待ってて」
誰に聞かせるでもなく呟く。
「今行くから」
そしてヒーロー候補生たちは、ついに個性暴走の中心へと迫っていった。