第25章 夏祭りボランティア
祭り会場。
提灯の灯り。
賑やかな音楽。
焼きそばやたこ焼きの香り。
そんな平和な空気の中で、ヒーロー科の生徒たちだけが慌ただしく動き回っていた。
「すみません、このくらいの男の子見ませんでしたか?」
出久が屋台の店主に写真を見せる。
「いやぁ、見てないな」
「そうですか、ありがとうございます!」
別の場所では。
「迷子のお知らせです――」
会場放送が流れる。
何度目かわからないアナウンス。
ユカリは川沿いの散歩道を走りながら耳を傾ける。
『五歳の男の子を探しています――』
その瞬間。
パッ。
遠くで光が弾けた。
ユカリが足を止める。
「……また」
今度はさっきより明るい。
明らかに強くなっている。
インカムからも報告が入る。
『南側広場で浮遊現象確認!』
『屋台の提灯が数個浮きました!』
『怪我人なし!』
環の声だった。
だが余裕はない。
少しずつ範囲が広がっている。
ユカリは眉をひそめる。
そして。
違和感に気付く。
放送。
光。
放送。
浮遊。
放送。
小爆発。
まるで連動している。
「……まさか」
ユカリは立ち止まる。
考える。
五歳。
感情連動型個性。
親とはぐれた。
そして。
会場中で繰り返される迷子放送。
『保護者の方は――』
また放送が流れる。
その直後。
ドンッ。
遠くで小さな爆発音。
悲鳴。
ざわめき。
今度は確信に近かった。