第1章 序章
代わりに一兄が話を続ける。
「ソイツはよほど器が小さい奴だ。中学に上がっても、何かあったらすぐ俺の教室に来いよ」
自身を親指で指して、「お兄ちゃんに任せなさい」とドンと言ってくれる。
それは冗談抜きで頼もしい。
私は自然な笑顔を作る。
ようやく卒業して、兄ちゃん達と同じ学校に上がれる。
小学5年生に上がってから、小中で別々になって、正直寂しかった。
休み時間に高学年の教室を覗いても、知らない人ばかりでつまらい。
小5で身長160cm近くの私に、同級生はあまり近寄ってこないし、これといった親しい友達もできなかった。
「零ちゃん大きいねェ」「将来、モデルさんじゃないかな」と、女子はお世辞は言ってくれた。
でも、小学生男子のデリカシーの無さには、よく頭を悩まされた。
「キリン」「トーテムポール」「棒」「巨人」
私より低い男子につけられたあだ名は数知れない。
その度に、楼兄はどこからか話を聞きつけて、男子達に容赦なく立ち向かった。
『他人を見下げている奴ほど、そうやって相手を貶すことでしか、自分を格上だと勘違いできないんだ。幼稚園からやり直せ低脳共』
相変わらずのボキャブラリーの豊富さ。
さらに毒舌と鬼の形相のような迫力で、泣かした男子は数知れない。