• テキストサイズ

愚者の舞《WIND BREAKER》

第2章 〈過去編〉奇妙な演者



聖良はどうやら、私が無理に男役を演じると勘違いしているらしい。

「零ってスタイル良くて似合うけど、無理して周りに合わせる必要無いんだよ。副部長としての義理とかそういうのは無しでさ」

「……ハハッ。大丈夫。ありがとう。満更じゃない。むしろ、新しい自分を試せる機会でもあるし、楽しいよ」

「……なら…いいんだけど」


もうすぐお互いの帰り道の分かれ目に着く。

いつもの演劇部の帰り道。普通に歩いて15分。ゆっくり歩けば30分弱。

部長の聖良とは、今後の活動方針や練習の打ち合わせだったり、役者チームのレギュラー決めなどの話もする。

そんな何気ない日常が、あの頃の私にとって大切でもあった……


「じゃあ明日。練習この調子で頑張ろうね」

「……聖良。ちょっと聞きたいんだけど」

「?」

別れ際、私は相談してみることにした。

私には兄がいて、施設育ちだと知っている数少ない存在だから。

兄との折り合いが悪いこと。

それは普通の兄弟でも、良くあることなのか?

男の子は高校に上がると、家族にも内緒にすることは増えるのだろうかと。

「……うーん」

聖良は腕を組んで、明らかに考えているような仕草を見せる。

少し離れた場所からでも分かるくらい大きく動く。

リアクションや身振り手振りが大振りになる。演劇部あるあるだ。

(とはいえ、一人っ子の聖良に、兄弟事情を聞くのは難だったか……)


すると、聖良は表情を変えて、人差し指を立てた。

「じゃあさ、弁当、作ってみたら?」

「?」

弁当?

/ 44ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp