第2章 〈過去編〉奇妙な演者
聖良はどうやら、私が無理に男役を演じると勘違いしているらしい。
「零ってスタイル良くて似合うけど、無理して周りに合わせる必要無いんだよ。副部長としての義理とかそういうのは無しでさ」
「……ハハッ。大丈夫。ありがとう。満更じゃない。むしろ、新しい自分を試せる機会でもあるし、楽しいよ」
「……なら…いいんだけど」
もうすぐお互いの帰り道の分かれ目に着く。
いつもの演劇部の帰り道。普通に歩いて15分。ゆっくり歩けば30分弱。
部長の聖良とは、今後の活動方針や練習の打ち合わせだったり、役者チームのレギュラー決めなどの話もする。
そんな何気ない日常が、あの頃の私にとって大切でもあった……
「じゃあ明日。練習この調子で頑張ろうね」
「……聖良。ちょっと聞きたいんだけど」
「?」
別れ際、私は相談してみることにした。
私には兄がいて、施設育ちだと知っている数少ない存在だから。
兄との折り合いが悪いこと。
それは普通の兄弟でも、良くあることなのか?
男の子は高校に上がると、家族にも内緒にすることは増えるのだろうかと。
「……うーん」
聖良は腕を組んで、明らかに考えているような仕草を見せる。
少し離れた場所からでも分かるくらい大きく動く。
リアクションや身振り手振りが大振りになる。演劇部あるあるだ。
(とはいえ、一人っ子の聖良に、兄弟事情を聞くのは難だったか……)
すると、聖良は表情を変えて、人差し指を立てた。
「じゃあさ、弁当、作ってみたら?」
「?」
弁当?