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愚者の舞《WIND BREAKER》

第2章 〈過去編〉奇妙な演者



パッ

「!」

すると体育館内の空気が変わる。

若干薄暗くなった。恐らく裏方の人が照明を弱めて、舞台の始まりの合図を警鐘しているのだろう。

内心、「助かったぁ」と思いながら、話を終える際の会釈を交わしてから、舞台の方へ注目する。


幕のかかった舞台上に、先輩方が舞台横側の控えエリアから、列になって順番に姿を現す。

ざっと見、男女半々の4,5人で、全員、目立つ衣装を身につけている。

恐らく、これから演者を務める役者チームなのだろう。

真ん中に立っている男子生徒の手元には、マイクが握られていた。

(あれが部長さんかな?)

男子生徒は喉を鳴らして声を整え、「あーあー」とマイクテストをしてから、息をいっぱいに吸い上げる。

「?」

「ウェルカァ〜ム!ニューストゥーデンットゥッ!!」

キィ〜ンッ!

『!』

………は?

あまりの大声のせいで、マイク機器が声を拾いきれなくて、ハウリングが響く。

1年生の何人かは思わず耳を塞ぎ、他の何人かは、私と同じ顔をしていた。

え?何この状況?みたいな。

まだ暗転していないため、白けた後の微妙な空気がもろに見えるため、その場の誰もが黙り込む。

初っ端なの挨拶から、癖が強かった。

何かのお笑い食堂番組で映れば、即座にボタンを押されて突っ込まれそうな勢いだ。

これが演劇部?なのか?
お笑い芸人部と間違えたんじゃないか?

すると、その大ゴケした男子部員の隣にいる女子部員が、居た堪れない様子でマイクをそっと取り上げて言う。

「あ、これ、演技じゃないです。この人の素なのでお気になさらず。演劇はこれから始まりま〜す」

すると何人かはブッと吹き出した。受けたらしい。

何ともいえない奇妙な空気に、まるで知らない世界に入り込んだようだ。

(変人の集まりじゃないか……?)

演劇部に対する最初の印象は、そんな感じだった。


「ごめんごめん。初めだから気合い入っちゃって。俺も部長に任命されて、まだまだだな〜」

変わり者の部長さんは片手を立てて、謝る仕草を向けて、マイクをもう一度受け取る。

するとニコッと笑い、仕切り直す。

「ではでは!改めて、今日は来てくれてありがとう!皆、動機は様々だろうが、僕達に興味を持って自分の時間を割いてまで、来てくれた。そう考えただけでも嬉しいです!」

あれ?この人……

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