第2章 〈過去編〉奇妙な演者
(んで、今に至るってわけなんだよな……)
零は演劇後のストレッチをしながら、体育館内の雰囲気を見渡した。
1年前、ちょうどここで、体験入部会が開かれており、私たち以外の1年生も集まっていた。
今はいない3年生達が、部活見学しに来た私達を、演技ではない心からの笑顔で迎えてくれたのを覚えている。
先輩方の服装は、ラフなTシャツに動きやすそうなシンプルなパンツスタイルで、少し拍子抜けした。
てっきり、演劇部らしく派手な衣装で着飾るのかと思ったが。
『こういう裏方の人や大会本番じゃない時は、大体皆、動きやすい服装なんだよ』
隣に一緒に歩いている聖良が耳打ちして教えてくれる。
『毎回衣装を着て練習すると、着替えに時間がかかったり、痛んで修繕に出さないといけなくなるかもしれない。最悪、本番で間に合わないリスクもあるしね』
私の表情や視線から考えていることを見通すなんて。エスパーかよ。
先輩の誘導の下、用意されたパイプ椅子の列に並んで座る。
聖良とは反対側で、偶然隣り合わせになった別の1年生に声をかけられる。
『すっごい綺麗な髪と目の色だね』
『!』
初対面なのに急に容姿のことをズバッと言われ、ギョッとする。
こちとら、自分のキャラにふさわしくない場所に来て戸惑っているのに、これ以上戸惑わせないで欲しい……
(この中学校の女子は皆、フランクになる英才教育でも受けてきたのか?)
と、零自身でも訳のわからない理論を考えていた。
隣の女子はそんな零の気持ちにお構いなしに、座った体勢のまま距離を縮めてくる。
『黄金色の瞳なんてロマンチック〜。銀髪も地毛なの?』
『えっと、これは……』