第5章 first love…?
僕は、朝からイラついていた。
それもこれも、彩峰麻由佳の所為だ。
昨日の夜、僕は彼女に用があってまだ起きているだろうと思い部屋を訪ねた。
すると、部屋のドアが少しだけ開いていてそこから中を覗くと、布団に横になって眠っているようだった。
ドアの方に背を向けていて、表情なんかは一切見えないので確認は出来ないが。
「……あ……っ」
声が聞こえたので、最初は寝言でも言っているんだろうと思って立ち去ろうとしたその時だった。
「んっ!……だめ……こんなの……」
彩峰が寝言の割には誰かと会話しているような声を出したので、思わず振り返った。
おいおい。
随分はっきり寝言を言うじゃあないか。
というか、何がだめなんだ?
気になるな。
そんなくだらない事が気になってしまったのは、普段からリアリティを追及してばかりいる自分の性格的なものだろう。
もう一度、少し空いたドアの隙間から中を覗く。
彩峰の身体は小刻みに揺れていて、本当に眠っているんだろうかと言う疑問がわき上がる。
「あ……んぅ……っ」
疑問は確信に変わった。
彩峰は、眠っていない。
そして、その甘ったるい声で彼女が何をしているのか……大体の想像は出来てしまった。
この女……自分で自分の身体を慰めている……
そう思った瞬間、あの日の夜の彩峰の感じている表情が脳裏にフラッシュバックした。
その表情を思い出すと、同時に身体がかぁっと熱くなって彼女の後ろ姿から目が離せなくなる。
自分の吐いた息が、やけに熱かった。
彩峰は僕に見られているとも知らないで、自慰を続けている。
僕が、ゴクンと喉を鳴らしたその時だった。
「あ!っあ……じょ、すけく……」
彼女が、オカズにしているであろう男の名前を呼んだ。
自分ではどうしようもないと思う程熱くなっていた僕の身体は、面白い程一気に冷え込んだ。
……あの、馬鹿……!
よりによって、仗助がオカズか……ッ!
ふざけるんじゃあないッ!
僕が思い切り部屋のドアを開けると、布団の上でジタバタ暴れている彩峰と目が合った。
「ろ、露伴先生……っ……」
血の気の引いた顔で、大層気まずそうに彩峰は僕の名前を呼んだ。