第5章 first love…?
それにしても……
恋人でもねえのに一緒に住んでんのか。
でもまぁ、俺が口出しするもんでもないので黙っておいた。
すると、彩峰くんが堰を切ったように話し始めた。
「露伴先生が話があるから杜王町まで来いって言ったんです。で、来てみたら!その場で!ここに!住めって言うんですよ!?犬になれって……私……っ……」
そして、今にも泣き出しそうな顔をする。
「嫌なら断ればいいだろう」
「断ったら殺されると思ったんです!だって私がなんでですかって言ったら露伴先生、めっちゃキレ散らかしてたじゃあないですか!」
「うるさいッ!キャンキャン喚くな!この犬がッ!」
「ひゃっ!」
こいつらのやり取りを聞いていてなんとなくだが、話が見えてきた。
どうやら露伴くんが、権力にものを言わせて無理矢理彩峰くんを自分の家に住ませているようだ。
自分の立場を利用してそんな事をするのは、一種のハラスメントにもあたりそうだが……。
何故、露伴くんはそこまでしたのか。
それを考えながら、露伴くんをちらりと見るとどうだろう。
「全く、うるさい奴だ……」
さっきから彩峰くんに向かってやれ下僕だの犬だのポンコツだの言っているが、俺は気付いてしまった。
目が、俺を含めた他の奴らに向けるものと違う事に。
本当に彩峰くんを下僕とか犬とか思っているなら、もっと蔑むような目をするはずだ。
だが、露伴くんの目は違った。
「本当に君はだめな女だな!分かってるのか?」
露伴くんは、悪態をつきながら彩峰くんをどこか愛しくて仕方ないものを見るような目で見ている。
だが、それを誰にも悟られまいと彼女を更に悪く言っているように見える。
恐らくだが……いや、本当に恐らくだが。
露伴くんは、彩峰くんが好きなのだろう。
そして、これも恐らくだが露伴くんは自分の気持ちに気付いていない。
彩峰くんも彩峰くんで、露伴くんの気持ちには気付いていないだろう。
そして、マジで自分は露伴くんの下僕だとか思っているに違いねえ。
相当、こじれてんな……
……やれやれだぜ……
色々と気付いてしまったが、こんな面倒くさい案件に首を突っ込みたくもないので、俺はだんまりを決め込むことにした。